アイス類の種類の違いとは?その基準や表示方法について解説します。

アイス類の種類の違いとは?その基準や表示方法について解説します。
今月は暑い日が続いていたので、アイスを食べる機会も多かったのではないでしょうか。
量販店に行くと、様々なアイスが種類豊富に売られています。
どれも美味しいことには違いはありませんが、その表示を見ると、
「アイスクリーム」と書かれているものや「アイスミルク」と書かれているものがあります。
これらの違いは何でしょうか。
今回のコラムはこれらの違いについてまとめました。

1.アイスの種類の違い

「アイスクリーム類」およびその分類については、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(通称:乳等省令)」という法律で定められており、含まれる乳固形分・乳脂肪分の量の違いによって、3つに分かれています。

アイスクリーム類:
乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料としたものを凍結させたものであって、乳固形分3.0%以上を含むもの(発酵乳を除く。)

アイスクリーム:乳固形分が15.0%以上、うち乳脂肪分が8.0%以上

アイスミルク:乳固形分が10.0%以上、うち乳脂肪分3.0%以上

ラクトアイス:乳固形分が3.0%以上

それぞれについて微生物規格も定められています(下図を参照)。

「乳固形分」とは、乳製品のうち水分を除いた成分であり、「乳脂肪分」は乳固形分に含まれる脂肪のことを指します。

一般的には、
アイスクリームは、乳固形分とともに乳脂肪分も多いので、濃厚な味わい、
アイスミルクは、アイスクリームよりも乳成分が少なく、ややあっさりとした味わい、
ラクトアイスは、より乳成分が少なく、さらにあっさりと軽い口当たり、
であるものが多いと思います。

また「アイスクリーム類」に該当しない(乳固形分が3.0%未満)ものは「氷菓」として、
こちらも『食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)』にて、微生物規格が定められています(下図を参照)。

2.アイスクリーム等を2種類以上組み合わせている場合

では、バニラとチョコを組み合わせた商品や、ビスケット等をトッピングした商品、
果肉を混ぜ込んだ商品である場合の、乳固形分・乳脂肪分の考え方はどうなるのでしょうか。

この場合の考え方は、公正競争規約で定められています。
まず、「アイスクリーム類」同士を組み合わせたもの(下表①)なのか、「アイスクリーム類」と他食品を組み合わせたものかで変わってきます。

さらに、「アイスクリーム類」と他食品を組み合わせたものについては、
「アイスクリーム類」と容易に分離できるか(下表②)、できないか(下表③)で変わってきます。

3.アイスクリーム類の表示方法

アイスクリーム類の表示方法については、「食品表示法」で定められています。

(氷菓については食品表示法で個別に定められた事項はありませんが、公正競争規約にて定められた事項があります)

定められている事項をいくつか抜粋しますと、例えば以下項目の表示が義務付けられています。

「種類別」

乳等省令の定義に従い、アイスクリーム類にあってはアイスクリーム、アイスミルク又はラクトアイスの別を14ポイント活字以上で表示する。

「無脂乳固形分及び乳脂肪分」

重量百分率で小数第1位まで表示する。

「乳脂肪分以外の脂肪分」

乳脂肪分以外の脂肪分(チョコレート、卵、ナッツ類等の風味原料由来のもの)を含むものにあっては、脂肪分の固有の名称(チョコレート脂肪分、卵脂肪分、植物性脂肪分(ナッツ)等)及びそれぞれの重量百分率を表示する。

また、「賞味期限」「保存方法」については、省略することが可能です。

※これ以外にも定められている事項がございます。詳細は、食品表示基準(第三条、別表第十九など)を参照ください。

(表示例)

また、公正競争規約ではさらに細かく規定されている事項があります。こちらもご確認ください(例えば、商品名で「チョコ」を謳う場合に、チョコ成分の配合基準値があるなど)。

アイスクリーム類及び氷菓の表示に関する公正競争規約・公正競争規約施行規則
(※リンクをクリックすると、公正競争規約のページが開きます。)

以上、簡単ではありますが、アイスクリーム類の分類についてご説明させて頂きました。

そのときの気温や気分によって、食べたいアイスは違ってくると思います。
屋外では、30℃以下だとアイスクリームやソフトクリームが良く売れますが、30℃を超えるとかき氷が売れるようになると聞いたことがあります。
どの種類のアイスも、食べる状況に合わせた良さがありますので、楽しく食べ分けてくださいね。


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「公正競争規約がよくわからない」「現行の表示で合っているのか心配」などのお悩み事がありましたら、ぜひ一度お試しくださいませ。

他にも乳製品についてコラムで解説しております。
以下ご参照くださいませ。

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仲田
品質管理歴7年。前職は食肉加工品メーカー。食品表示検定上級、管理栄養士、お肉博士の資格を持っています。好きな食べ物は牛肉です。

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