食品期限表示(消費期限・賞味期限)に理化学検査(試験)って必要? 品質管理のプロが解説!

食品期限表示(消費期限・賞味期限)を設定する際、「食品期限表示の設定のためのガイドライン」を参考にされている方も多いですよね?
食品期限表示の設定のためのガイドライン
※リンクをクリックすると消費者庁のページ(PDF)が開きます。
その中に代表的な試験方法として、「理化学検査(試験)」「微生物検査(試験)」「官能検査」が挙げられております。
ですが一般的には、「微生物検査(試験)」と「官能検査」で食品期限表示(消費期限・賞味期限)を決めている方がほとんどだと思います。
今回は理化学検査とはなにか? 行う必要はあるのか? について解説いたします。

なお、食品期限表示(消費期限・賞味期限)の設定方法や官能検査の方法につきましては、過去のコラムで詳しく解説しております。

賞味期限・消費期限とは。どうやって決めたらいいの? 新たな商品を開発したときはもちろん、すでに製造している商品でも取引先などから根拠を求められて困った経験のある方もおられるかと思います。期限表示についてプロが解説します。
食品期限表示(消費期限・賞味期限)を設定する際、官能検査の精度・客観性を高めるための方法について解説いたします。実施方法や注意点などもわかりやすく解説。微生物検査や理化学検査だけでなく、官能検査も用いて消費期限・賞味期限を設定してください。

おかげさまで食品表示、eBASE、仕様書サービスについて多くの依頼をいただいております。現在も受付中ですが、対応枠は限られておりますのでお早めにご連絡ください。

理化学検査とは

理化学試験とは主に分析機器を用いて、物理的・化学的な状態を測定するもので、
食品分野では「粘度」、「比重」、「過酸化物価」、「酸価」、「pH」、「栄養成分」、「糖度」等が用いられております。
理科の実験のイメージが近いでしょうか。
項目によっては大掛かりな分析機器が必要なものもありますが、
簡易的なものであれば、手で持てるサイズのテスター(測定器)で測ることが可能な場合もあります。

理化学検査はやらなければならないものか?

そんな理化学検査は食品期限表示(消費期限・賞味期限)を決めるときに行わなければならないのでしょうか?

食品期限表示の設定のためのガイドライン
※リンクをクリックすると消費者庁のページ(PDF)が開きます。

の五枚目、「例示2 パン」を見ると「主として微生物学的基準と官能的基準が使われていた。」とある通り、理化学検査という言葉が出てきません。

実際のところ、理化学検査を行うかどうかは食品別の規格基準等、公的な基準があるかどうかや、食品の特性によって変わります。

理化学検査を行った方が良い食品とは(一例)

油で揚げた食品

理化学検査を行った方が良い食品の例として、油で揚げた食品が挙げられます。
例えば即席めん(油揚げめん)には
即席めん類の成分規格で、
※リンクをクリックすると厚生労働省(PDF)のページが開きます。

「めんに含まれる油脂の酸価が3を超え、又は過酸化物価が 30 を超えるものであってはならない。」

と記載されています。

また、ドーナツやポテトチップスなどの油で揚げた菓子は
菓子指導要領に、
※リンクをクリックすると厚生労働省のページが開きます。

(a) 菓子は、その製品中に含まれる油脂の酸価が三を超え、かつ、過酸化物価が三○を超えるものであつてはならない。
(b) 菓子は、その製品中に含まれる油脂の酸価が五を超え、又は過酸化物価が五○を超えるものであつてはならない。

と記載されています。

そのため、これらの食品は食品期限表示(消費期限・賞味期限)を決めるときに「酸価」と「過酸化物価」を測定し基準内であることを確認することが望ましいです。

乳・乳製品

乳や乳製品は乳等省令で「比重」や「酸度」「乳脂肪分」などが定められている場合があるため、分類によっては実施することが望ましいです。

乳及び乳製品の成分規格等に関する命令
※リンクをクリックすると厚生労働省のページが開きます。

例えば「牛乳」では「無脂乳固形分、乳脂肪分、比重、酸度」が基準として定められています。

食品の特性

食品の特性としては、例えばソースやたれで、意図した粘度でなければ使用した際に混ざりにくい等、クレームに繋がりかねない場合は、粘度を測定して食品期限表示(消費期限・賞味期限)を決める参考にする、といったことが考えられます。
理化学検査ではなく実際に問題なく使用できるかでも確認はできますが、気温や使用する機器等の外的条件の差で結果が変わってしまう可能性があるため、理化学検査を用いるとより正確かつ客観的な根拠となります。

まとめ

理化学検査は全ての食品で必要なわけではありませんが、
食品の種類によっては重要な指標となります。
食品に応じて微生物検査、官能検査と併用して実施していくことが必要です。

弊社では官能検査は実施しておりませんが、
微生物検査」を実施可能です。
また、理化学検査も可能な場合がございますので、まずはご一報ください。

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今回の更新はオージーフーズ品質管理チームの関根が担当いたしました。

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関根
品質管理歴14年。食品表示検定上級の資格を持っています。 前職はパン・米飯メーカー。 好きな食べ物は甘いもの、かつ丼、酢飯。

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