ドレッシングの名称の違いとは?定義や表示方法について解説します。



サラダには欠かせない存在のドレッシングですが、イタリアンドレッシング、フレンチドレッシング、ごまドレッシング、中華ドレッシング…など、数えきれないほどたくさん種類があります。
これらの商品名の違いは、明確な定義などは無く、主原料や味などから製造者の判断で名前をつけていることが多いです。
しかし、各商品のパッケージにある一括表示の名称欄を見てみると、「乳化液状ドレッシング」、「分離液状ドレッシング」など、統一された表示方法がされています。
これらの定義や違いは何なのか、今回のコラムでは表示方法も併せてご説明いたします。

ドレッシングの名称の違いとは?

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1.ドレッシング類の定義

食品表示基準では、まず「ドレッシング」または「ドレッシングタイプ調味料」に分けて分類されています。
それぞれの定義は以下のように定めています。

ドレッシング:
① 食用植物油脂(香味食用油を除く。)及び食酢若しくは
かんきつ類の果汁に食塩、砂糖類、香辛料等を加えて調製し、水中油滴型に乳化した半固体状若しくは乳化液状の調味料又は分離液状の調味料であって、主としてサラダに使用するもの

② ①にピクルスの細片等を加えたもの

ドレッシングタイプ調味料
① 食酢又はかんきつ類の果汁に食塩、砂糖類、香辛料等を加えて調製した液状又は半固体状の調味料で
あって、主としてサラダに使用するもの(食用油脂を原材料として使用していないものに限る。)

② ①にピクルスの細片等を加えたもの

食用植物油脂」と「食酢もしくはかんきつ類の果汁」の両方が原材料に使用されていることが、「ドレッシング」に該当する必須条件です。

「食酢もしくはかんきつ類の果汁」の使用はあるものの、食用植物油脂や動物油脂などの「食用油脂」を使用していない場合は、「ドレッシングタイプ調味料」に該当となります。

2.「ドレッシング」中の細分類

前項で「ドレッシング」に分類されたものについては、さらに粘度や形状等の違いによって、以下の3つに分類されます。

半固体状ドレッシング:
ドレッシングのうち、粘度が30パスカル・秒以上のもの

乳化液状ドレッシング
ドレッシングのうち、乳化液状のものであって、粘度が30パスカル・秒未満のもの

半固体状ドレッシング:
ドレッシングのうち、分離液状のもの

この3つの区分のどれに当てはまるのか考える際に必要となるのが、「粘度」です。
明確な数値「30パスカル・秒」の基準があり、これは配合や製造工程から一律に考えることが難しいため、検査によって求める必要があります。

このうち、「半固体状ドレッシング」については、さらに以下の2つに分類されます。

マヨネーズ:
半固体状ドレッシングのうち、卵黄又は全卵を使用し、かつ、必須原材料、卵黄、卵白、たんぱく加水分解物、食塩、砂糖類、蜂蜜、香辛料、調味料(アミノ酸等)、酸味料及び香辛料抽出物以外の原材料及び添加物を使用していないものであって、原材料及び添加物に占める食用植物油脂の重量の割合が65パーセント以上のもの

サラダクリーミードレッシング
半固体状ドレッシングのうち、卵黄及びでん粉又は糊料を使用し、かつ、必須原材料、卵黄、卵白、でん粉(加工でん粉を含む。)、たんぱく加水分解物、食塩、砂糖類、蜂蜜、香辛料、乳化剤、糊料、調味料(アミノ酸等)、酸味料、着色料及び香辛料抽出物以外の原材料及び添加物を使用していないものであって、原材料及び添加物に占める食用植物油脂の重量の割合が10パーセント以上50パーセント未満のもの

図にしてまとめると、以下のようになります。ドレッシング類の分類

よく目にする「イタリアンドレッシング」などは商品名であり、食品表示基準上においては、上のいずれかに分類されます。

3.ドレッシング類の表示方法

前項の分類ごとに、表示方法について食品表示基準で定められています。
定められている事項を以下にいくつか抜粋します。

「名称」

マヨネーズにあっては「マヨネーズ」と、サラダクリーミードレッシングにあっては「サラダクリーミードレッシング」と、マヨネーズ及びサラダクリーミードレッシング以外の半固体状ドレッシングにあっては「半固体状ドレッシング」と、乳化液状ドレッシングにあっては「乳化液状ドレッシング」と、分離液状ドレッシングにあっては「分離液状ドレッシング」と、ドレッシングタイプ調味料にあっては「ドレッシングタイプ調味料」と表示する。

※名称欄には分類名をそのまま表示する必要があり、「ごまドレッシング」等と表示することはできません。

「原材料名」

使用した原材料を、原材料に占める重量の割合の高いものから順に、次に定めるところにより表示する。
一 食用植物油脂は、「食用植物油脂」と表示する。
二 一の規定にかかわらず、食用植物油脂にあっては、「食用植物油脂」の文字の次に括弧を付して、「大豆油、なたね油」等とその最も一般的な名称をもって、原材料に占める重量の割合の高いものから順に表示することができる。この場合において、表示する食用植物油脂が一種類であるときは、「食用植物油脂」の文字及び括弧を省略することができる。
三 食酢は「醸造酢」等と、かんきつ類の果汁は「レモン果汁」等とその最も一般的な名称をもって表示する。
四 三の規定にかかわらず、醸造酢にあっては、「醸造酢」の文字の次に括弧を付して、「米酢、りんご酢」等とその最も一般的な名称をもって、原材料に占める重量の割合の高いものから順に表示することができる。この場合において、表示する醸造酢が一種類であるときは、「醸造酢」の文字及び括弧を省略することができる。
五 砂糖類は、「砂糖類」又は「糖類」の文字の次に括弧を付して、「砂糖、ぶどう糖」等とその最も一般的な名称をもって、原材料に占める重量の割合の高いものから順に表示し、砂糖及び砂糖混合ぶどう糖果糖液糖を併用する場合並びに砂糖混合ぶどう糖果糖液糖にあっては「砂糖・ぶどう糖果糖液糖」と、砂糖及び砂糖混合果糖ぶどう糖液糖を併用する場合並びに砂糖混合果糖ぶどう糖液糖にあっては「砂糖・果糖ぶどう糖液糖」と、砂糖及び砂糖混合高果糖液糖を併用する場合並びに砂糖混合高果糖液糖にあっては「砂糖・高果糖液糖」と表示する。ただし、表示する砂糖類が一種類である場合は、「砂糖類」又は「糖類」の文字及び括弧を省略することができる。
六 食用植物油脂、醸造酢、かんきつ類の果汁及び砂糖類以外の原材料は、「卵黄」、「たん白加水分解物」、「食塩」、「でん粉」、「からし」、「こしょう」、「トマトペースト」等とその最も一般的な名称をもって表示する。ただし、からし、こしょうその他の香辛料にあっては、「香辛料」と表示することができる。

※例えば、大豆油となたね油のように、2種類以上の油を使用している場合は、まとめて「食用植物油脂」または「食用植物油脂(大豆油、なたね油)」のように表示する必要があります。同様に、食酢や砂糖類についてもまとめて表示する旨が規定されています。

※これ以外にも定められている事項がございます。詳細は、食品表示基準(第三条、別表第四、別表第二十二など)を参照ください。

(表示例)
ドレッシング表示例

なお、名称に「サラダ用調味料」と書かれている商品もあります。
これは、食品表示基準で定められているものではなく、公正競争規約で定められているものです。
「半固体状ドレッシング、乳化液状ドレッシング、分離液状ドレッシング及びドレッシングタイプ調味料以外のもので、食酢又はかんきつ類の果汁、食塩、砂糖類、香辛料、加工油脂等を調製した液状、半固体状又は粉状の調味料であって、主としてサラダに使用するもの」又は「これにピクルスの細片等を加えたもの」と定義されています。
公正競争規約では、他にも禁止表示などさらに細かい規定があります。

ドレッシング類の表示に関する公正競争規約・公正競争規約施行規則
(※リンクをクリックすると、公正競争規約のページが開きます。)

以上、簡単ではありますが、ドレッシング類の分類についてご説明させて頂きました。
幅広い味の種類が販売されているドレッシングですが、「ドレッシング」と表示するためには必須の原材料があることや、法的な分類など、ご存知でない方もいらっしゃったのではないでしょうか。
これらを知った上で商品の表示を見てみると、また違った発見があるかもしれませんね。


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「公正競争規約がよくわからない」「現行の表示で合っているのか心配」などのお悩み事がありましたら、ぜひ一度お試しくださいませ。

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仲田
品質管理歴7年。前職は食肉加工品メーカー。食品表示検定上級、管理栄養士、お肉博士の資格を持っています。好きな食べ物は牛肉です。

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