実際の食品表示を例に、よくある表示間違いのポイントを間違い探しクイズ形式でわかりやすく解説します。
次の一般用加工食品の「一括表示」と「栄養成分表示」で、間違えて表示している箇所があります。初級編と上級編の2問ありますので、どこが間違っているか探してみてください!
それぞれの問題で、よくある表示間違いが5か所ずつあります。
初級編:問題
【ヒント】表示間違いは「一括表示」で3か所、「栄養成分表示」で2か所あります!
初級編:回答と解説
以下の画像が正しい表示であり、赤文字で手直しした箇所が出題画像で間違っていた箇所です。それぞれの項目を詳しく解説いたしますね。
- 【間違い①】加工食品の原材料の原料原産地表示
- 【間違い②】アレルギー表示
- 【間違い③】賞味期限と消費期限
- 【間違い④と⑤】食品表示基準別記様式3に基づいた表示
それでは、表示間違いについて解説していきます!
解説
【間違い①】加工食品の原材料の原料原産地表示
輸入品を除き、加工食品の重量割合上位1位の原材料は原料原産地表示が義務化されています。
「ナチュラルチーズ」は加工食品であるため、「●●産」ではなく「●●製造」と表示する必要があります(生鮮食品まで遡って表示する場合を除きます)。
改正された新しい原料原産地表示制度についてわかりやすく解説します。22食品群、個別4品目から全ての加工食品へと対象が拡大され、表示方法も大きく変更されています。これまでとは記載方法が異なる点が多くありますので、これまでも表示をされていた方々もご注意ください。
【間違い②】アレルギー表示
アレルギー表示を一括表示する場合は、当該食品に含まれるすべての特定原材料等を表示する必要があり、特定原材料(義務付けられている品目)である「卵」の表示が抜けている点が間違いです!
アレルギー表示(特に義務付けられている品目)は消費者の命に関わる危険性があるため、決して間違えることのない様に注意しましょう!
食品表示法(新表示)におけるアレルギーの表示方法についてご紹介。原材料名への記載方法、代替表記と拡大表記、コンタミネーション、旧表示からの変更点など、オージーフーズの品質管理スタッフが詳しくわかりやすく解説いたします。
「アレルギー表示」については、どのメーカー様も細心の注意を払って作成されているかと思います。ただし、自社の取り扱い製品でよく出てくる特定原材料等については十分な知識をお持ちでも、ごくたまにしか出てこない特定原材料等については、もしかしたら見落とすリスクがあるかもしれません。今回のメルマガでは、アレルギー表示の注意点について改めてご確認頂ければと思います。
【間違い③】賞味期限と消費期限
急速に劣化する食品には、安全性を欠くこととなるおそれがない期限である「消費期限」として具体的な日付(年月日)を表示する必要があります。
なお、「お早めにお食べください。」の文言は一括表示の外に表示することができます。
賞味期限・消費期限とは。どうやって決めたらいいの? 新たな商品を開発したときはもちろん、すでに製造している商品でも取引先などから根拠を求められて困った経験のある方もおられるかと思います。期限表示についてプロが解説します。
【間違い④と⑤】食品表示基準別記様式3に基づいた表示
食品表示基準別記様式3の通りに、「栄養成分」ではなく「栄養成分表示」にして、「食品相当量」ではなく「食塩相当量」と表示する必要があります。
食品表示法の施行とともに、「原則として全ての予め包装された一般消費者向け加工食品及び添加物」において表示が義務付けられた「栄養成分表示」について、基本的な表示方法をご紹介。文字サイズや表示の順番、表示値の許容差の範囲など、オージーフーズの品質管理スタッフが詳しくわかりやすく解説いたします。
上級編:問題
【ヒント】表示間違いは「添加物」の表示で2か所、「栄養成分表示」で2か所あります!(もう一つはどこでしょう~?)
上級編:回答と解説
- 【間違い①】多糖類の簡略名表示
- 【間違い②】添加物の表示
- 【間違い③】製造所固有記号の表示
- 【間違い④と⑤】エネルギーと食塩相当量の表示
それでは、それぞれの表示間違いについて詳しく解説していきます!
解説
【間違い①】添加物の簡略名表示
多糖類を2種以上併用した場合は、簡略名として「増粘多糖類」と表示することができますが、「増粘多糖類」と表示した上で、「増粘多糖類」と表示できる「キサンタンガム」を抜き出して表示することはできません。
簡略名を表示せず、「ゲル化剤(ペクチン、カラギナン、キサンタンガム)」等と表示することもできます。
【間違い②】添加物の物質名表示
食品表示基準別表第6で示された8種類の用途に使用される添加物は、当該添加物の物質名及び用途名を表示する必要があります。
また、別表第7に掲げる14種の一括名で使用される添加物のように、物質名の省略はできません。
食品添加物について解説します。保存料や甘味料など(食品表示基準 別表第6)で示された8種類の用途に使用される添加物は、その用途名を併せて表示することが必要です。食品添加物の表示にも色々なルールがあり、それらを正しく理解して間違いのない食品表示をしましょう。
【間違い③】製造所固有記号の表示
一般用加工食品で製造所固有記号を使用する場合、製造所の所在地や製造者の氏名若しくは名称について消費者が情報を得られるように、下記のいずれかの表示が必要です。
①製造所の所在地又は製造者の氏名若しくは名称の情報の提供を求められたときに回答する者の連絡先(電話番号)及び「お客様ダイヤル」「お客様相談室」「製造所固有記号についてのお問合せ先」等の事項名
②製造所固有記号が表す製造所の所在地及び製造者の氏名又は名称を表示したウェブサイトのアドレス(⼆次元コードその他のこれに代わるものを含む。)及び「当社ウェブアドレス」「製造所固有記号についてのお問合せ先」等の事項名
③当該製品を製造している全ての製造所の所在地又は製造者の氏名若しくは名称及び製造所固有記号
新表示で大きく変わった製造所固有記号の新ルール「製造所固有記号の応答義務」について説明させていただきます。お客様が購入した商品について「どこで製造されたか」を知りたい時に、その情報を確認するための方法を表示する必要がありますのでご注意ください。
消費者庁の「食品表示制度に係る説明会」で消費者庁の方が「製造所固有記号」について気になることを仰っていましたので、製造所固有記号を使用できる条件と併せてご紹介いたします。
【間違い④と⑤】エネルギーと食塩相当量の表示
エネルギーの単位は、「kcal」または「キロカロリー」で表示する必要があります。
(「kcal」の「k」を大文字「K」と間違えている(打ち間違えた?)表示も時たま見かけますので要注意ですよ。)
また、食塩相当量の値は、小数第1位までの表示が必要となります。
小数第1位に満たない場合であって、ナトリウムの量が「0と表示することができる量(100g当たり5mg未満)」以上であるときは、有効数字1桁以上を表示します。
なお、食塩相当量を「0」と表示できる場合には、「0.0」、「0」と表示しても差し支えありません。
栄養成分表示が義務化されてからしばらく経過していますが、表示方法に誤りがあることが多々見受けられます。 今回は間違いやすい栄養成分表示について解説していきます。また、最後に栄養成分表示で今検討されている内容について解説します。
あとがき
今回は、実務で見落としやすい表示の間違いについて具体的な事例を基に解説しました。
食品表示は消費者の安全と選択に関わる重要な情報です。また、表示の誤りはアレルギー表示漏れやリコールなど重大な問題につながる可能性があります。
私たちオージーフーズも、正確で分かりやすい表示のために日々研鑽を重ねています。
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#食品表示のよくある間違い #食品表示を作成する際に気をつけたい箇所を学ぼう
The following two tabs change content below. 前職は製菓・製パンの卸の品質管理を担当していました。 食品表示検定上級、品質管理検定(QC検定)3級、マーケティングビジネス実務検定B級、惣菜管理検定3級の資格を持っています。好きな食べ物は米、酢です。